関西学院大学理工学部だより


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■理工学部だより  除虫菊の天然殺虫成分,完全化学合成に成功 2020.1.20

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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田辺陽・理工学部教授らのグループ
除虫菊の天然殺虫成分,完全化学合成に成功し、
天然殺虫剤の実用的な人工生産への期待
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関西学院大学理工学部化学科の田辺陽教授、松尾憲忠博士、川元百世(大学院修士課程2年)らの研究グループは、日本が世界をリー ドするピレスロイド系殺虫剤のルーツである「天然ピレトリン」計6種の完全な化学合成に成功しました
。 除虫菊の成分である「天然ピレトリン」を人工改変した「合成ピレスロイド」は現在、30以上の商品が市販され、そのバリエーション は、あらゆる医農薬品の中で比類なき例と言えます。「蚊取り線香」から「虫コナーズ」(大日本除虫菊)まで、ピレスロイド系殺虫 剤はその高い安全性のため、世界中の農業生産、アメニティライフに貢献し、さらに「オリセットネット」(住友化学)においてはマ ラリア駆除にも多大な役割を果たしてきました。
しかし、全く意外にも「天然ピレトリン」の正確な化学的性質や殺虫活性は、そのルーツであるにもかかわらず、計6種類の構造が非 常に類似しているため、これまで確定できないままでした。ところが一方、「天然ピレトリン」は折からの天然品仕様への回帰トレン ドから、実用的にも、乾燥除虫菊ベースで年間1万トンも世界中で栽培され、その利用価値は非常に高いものです。今回の研究では、 全6種類の物性が確定でき、そのうち4種に高い殺虫活性があることが、初めて明らかとなりました。
日本が先導するピレスロイド化学の長年の懸案課題(ミッシング・リンク)に、貴重で有意義な解答を提出できたといえます。 この研究成果は、アメリカ化学会のジャーナル「The Journal of Organic Chemistry(ザ・ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミス トリー)」のEarly Viewに、2020年1 月 11日(土)付で掲載されました(下記の<論文タイトル>参照)。
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.joc.9b02767
ポイント
(1)最新のしかも実用可能な有機化学の合成技術が駆使されています。
(2)除虫菊成分として実用化されているにも関わらず、これまで含有量さえ不明であった「天然ピレトリン」成分の精密な化学的性 質を確定できました。
(3)世界中の蚊、さらにはハエ、ゴキブリ、ヒアリなどの問題害虫の駆除に、イメージの良い天然品が使用できます。
(4)天候に支配されやすい除虫菊の栽培からの脱却、すなわち、化学合成による安定した供給の確保としての貢献ができると期待さ れます。
(5)マラリア・デング熱などの世界の脅威から、安全な天然ピレスロイド殺虫剤の使用が今後ますます期待されます。
論文タイトル
 Momoyo Kawamoto, Mizuki Moriyama, Yuichiro Ashida, Noritada Matsuo, Yoo Tanabe “Total Syntheses of All Six Chiral Natural Pyrethrins: Accurate Determination of the Physical Properties, Their Insecticidal Activities, and Evaluation of Synthetic Methods,” J. Org. Chem. in press.
川元百世、森山瑞希、蘆田雄一郎、松尾憲忠、田辺陽 「天然ピレトリン6種の完全化学合成:物性の精密決定,殺虫活性,合成法評価」 研究の背景と経緯 研究成果 今後の期待
【研究の背景と経緯】
ピレスロイド系殺虫剤の開発は、医薬のスタチンと並び、日本の五指に入る日本の誇るべき化学技術です。「蚊取り線香」から「虫コ ナーズ」、そして、マラリア撲滅の「オリセットネット」の普及により、顕著な社会貢献をもたらしてきました。この礎は、故松井正 直・東京大学名誉教授,故森謙治・東京大学名誉教授(ともに日本学士院会員)の研究・業績にあり、特に松井教授は戦後、住友化学 に在籍し、ピレスロイド産業の礎を築いたともいえます。
松井研究室出身の田辺教授は、約40年前に住友化学に入社時、社長の「この会社は欧米追随型ではあるが、唯一世界に伍して誇るべき は、ピレスロイド化学」との言葉に強い感動を覚えたといいます。その後、関西学院大学に移籍し、ピレスロイド化学に想いを馳せな がら(論文が5編以上)、松井研の先輩で、ピレスロイド化学の第一人者であるある元住友化学の松尾憲忠博士(関西学院大学理工学 部研究員兼務)と懇談する中で、この研究に取り組むことになりました。
【研究成果】
「天然ピレトリン」の正確な化学的性質や殺虫活性を初めて確定しました。合成法や構造決定も、「天然ピレトリン」は、安価な人工 ピレスロイドよりかなり困難であるため、ミッシング・リンクであったと考えられます。一方で、ピレスロイド系殺虫剤は,人工ピレ スロイドとして30以上の商品として出回ったため、見過ごされてきました。実際に、構造やその人工化学合成法も簡便となったことが 主な要因です。
今回、全6種類の物性が確定でき、そのうち4種に高い殺虫活性があることが判明しました。加えて、この論文では、包括的な天然ピレ トリンの既存化学合成法の評価も行っています。
【今後の期待】
環境調和型の天然殺虫剤の化学生産が可能になれば、天候に左右される除虫菊の栽培をカバーするだけでなく、六つの成分のブレンド も自在にできることになります。これが、品質管理上重要となります。
 今回の研究成果は特許化しておらず、世界中の化学者が自由に利用できます。関西学院のスクールモットーである“Masterey for Service”(奉仕のための練達)、言い換えれば、さらなる社会貢献に結びつくことが期待されます.
◆問い合わせ先
■関西学院広報室 TEL: 0798-54-6017
■関西学院大学 理工学部化学科 田辺 陽 教授
田辺研究室 ホームページ
http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~tanabe/index.html

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■新年のご挨拶 関西学院同窓会 西名弘明会長  2020.1.20

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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 2018年4月に同窓会長に就任してから、まもなく2年が経ちます。この間、国内・海外支部、公認団体の総会をはじめ、ホームカミン グデーや評議員会、体育会の試合観戦など様々な行事イベントに出席させていただき、世界中の同窓生が母校に思いを寄せておられて いることに、とても心強く感じています。
 母校関西学院は、創立150周年にあたる2039年を見据えた超長期ビジョンと長期戦略からなる将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」を実行し、昨年2019年4月には8つ目のキャンパスとなる、西宮北口キャンパスを開設されました。また、来年2021年4月より理 系教育の充実を図るために、神戸三田キャンパスにある現在の理工学部を理学部・工学部・生命環境学部・建築学部に再編し、総合政 策学部を合わせた5学部体制のキャンパスとする設置構想が進んでいます。
 一方、同窓会では昨年2019年6月に“関西学院同窓会本部銀座オフィス”を開設し、首都圏を中心に、既に多数の同窓団体に利用い ただいています。開設から半年が過ぎ、今年はさらに利用活性化が図れるよう様々な施策を行ってまいります。  また昨年2019年は、若手同窓生を参加対象としたYouth Reunion Partyを初の試みとなる、大阪・東京・名古屋・福岡の4会場で同時 開催し、全国各地で多くの若手同窓生の交流が盛んに行われました。
 平成から令和に移り、今年は令和初の卒業生を同窓会に迎えることになります。これからの令和時代に期待を膨らませて、同窓会も 変化していきたいと思います。引き続き、同窓会活動へのご理解と温かいご支援をお願い申し上げます。
2020年1月

関西学院同窓会
会長 西名 弘明

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■理工学部だより  新たな光触媒の創出に期待  2020.1.13

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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関西学院大学理工学部の鎌倉吉伸氏・田中大輔准教授らの研究チームと
大阪大学および大型放射光施設SPring-8の共同研究グループは
光を照射することで水を分解して水素を発生させる
新しい多孔性物質の開発に成功
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関西学院大学理工学部の鎌倉吉伸氏・田中大輔准教授らの研究チームと大阪大学および大型放射光施設SPring-8※の共同研究グルー プは、光を照射することで水を分解して水素を発生させる新しい多孔性物質の開発に成功しました。本研究で開発された多孔性物質 は、金属-有機構造体(MOF)や多孔性配位高分子(PCP)と呼ばれ、理想的なナノ空間を持つ物質として世界中で研究されている材料 の一種です。本研究では、一般的には合成が難しいとされていた硫黄を含んだMOFの合成に成功しました。さらに、硫黄が含まれるこ とによって、従来知られていたMOFでは実現困難な電気伝導性や触媒特性が発現することを実証しました。本物質の開発で得られた知 見を基にして、さらなる新触媒や半導体材料の発見が促進される事が期待されます。
 本研究成果は12月24日、総合化学誌 「Journal of the American Chemical Society」オンライン版 に掲載されました。
《ポイント》
・従来合成が難しいことが知られていた硫黄を含むMOFの合成に成功し、この新材料が光を照射することで水を分解して水素を発生さ せる触媒特性を示すことを見出しました。クリーンな太陽エネルギーによる水素発生は、燃料電池の原料供給のための重要なテクノロ ジーにつながります。
・この触媒特性は、硫黄を用いることで光を吸収する効率が上がり、さらに吸収した光エネルギーを反応に利用することができるよう になったためであると考えられます。
・本成果で開発した硫黄を含むMOFを活用して、様々な金属と硫黄を含む分子の組み合わせから、優れた触媒や半導体材料になるMOFの 開発に繋がることが期待できます。
《研究の背景と経緯》
 多孔性物質とは、分子サイズの小さな穴が無数に空いた構造を持つ材料で、活性炭が代表的な物質として古くから知られています。 近年は、金属-有機構造体(MOF)もしくは多孔性配位高分子(PCP)と呼ばれる新しい多孔性材料が、水素や温室効果ガスの貯蔵や分 離、各種触媒反応などの環境エネルギー問題の解決に有用な材料であるとして、世界中で盛んに研究開発されています。一方、多くの MOFは絶縁体で電気を流さず可視光を吸収しませんが、もしMOFが電気を流し、光エネルギーを吸収するような半導体としての特性を示 せば、高い比表面積を利用した触媒や太陽電池などのエネルギー変換材料への応用が可能になるため、半導体特性を持つMOFの開発が 現在求められています。これまで、硫黄を含んだMOFは半導体特性を示すことが知られていましたが、結晶性の高い良質な硫黄を含む MOFの合成は難しく、その特性は十分に検討されてきませんでした。
《研究成果》
 今回、田中准教授らの研究チームは、炭素と窒素を含んだ硫黄化合物を用いることで鉛を含む新しいMOFの結晶を開発することに成 功しました。これは、窒素が硫黄の反応性を低下させることで、結晶化に最適な反応条件を実現できたためであると考えられます。ま た、開発したMOFの分子サイズの細孔の構造を高輝度光科学研究センター(JASRI)の杉本邦久主幹研究員とのSPring-8のビームライン (BL02B1)の放射光を用いた実験から明らかにすることに成功しました。さらに、関西学院大学理工学部の吉川浩史准教授との共同研 究から、その細孔には水のみが取り込まれて、アルコールなどの有機分子は入らないことも明らかにしました。関西学院大学理工学部 の玉井尚登教授と片山哲郎助教のチーム、大阪大学の佐伯昭紀教授と正岡重行教授との共同研究から、この新たに開発したMOFが光を 吸収することで電気を流し、さらにそのエネルギーを利用することで水を水素に変換する触媒としての能力を持つことを実証しまし た。また、関西学院大学理工学部の小笠原一禎教授と西谷滋人教授との計算機を用いた研究により、鉛と硫黄の原子が作るネットワー クが触媒反応に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。本研究により開発された新材料が電気を流し、光エネルギーを利 用した触媒として機能するという知見は、MOFの新しい用途を切り開く成果になると期待されます。

 本研究で開発した硫黄を含むMOFの構造。無数の穴が開いていることがわかる。この無数の穴に水を取り込むことができる。また、 骨格は硫黄と鉛と有機分子からできており、そのネットワークが電気を流すことが明らかになった。
《今後の期待》
 半導体特性を持つ材料に分子サイズの無数の穴を自在に空けることができれば、様々な触媒反応や電池の電極材料などへの応用が期 待されます。本研究の詳細な解析から、開発したMOFの優れた特性は、硫黄を含むことで発現したことが明らかとなりました。今後は これらの知見を活かして、様々な種類の硫黄を含んだMOFが合成されることとで、より優れた特性を持つ材料の開発が期待されます。 特に、水から太陽エネルギーによって水素を発生させる触媒は、燃料電池によるクリーンなエネルギー源に応用できるため、さらなる 高性能材料の開発が求められます。一方で、そのような硫黄を含むMOFを合成することは難しく、合成のための反応条件の探索には膨 大な試行錯誤が必要となります。今後は、このような合成の難しい材料を効率的に探索するために、人工知能を活用したマテリアルズ インフォマティクス(MI)の手法の活用が期待されます。
■研究助成
 本研究はJST戦略的創造研究推進事業さきがけ(JPMJPR17NA, JPMJPR15N6)JSPS科学研究費(JP16H02285, 17H03048, 18H04528, 17H06444, 19H00903)の支援により行われました。
■論文タイトル
 Semiconductive Nature of Lead-Based Metal-Organic Frameworks with Three-Dimensionally Extended Sulfur Secondary Building Units (和訳:3次元的に拡張された硫黄二次構造を持つ鉛金属-有機構造体の半導体特性)
■著 者
 Yoshinobu Kamakura, Pondchanok Chinapang, Shigeyuki Masaoka, Akinori Saeki, Kazuyoshi Ogasawara, Shigeto R. Nishitani, Hirofumi Yoshikawa, Tetsuro Katayama, Naoto Tamai, Kunihisa Sugimoto, Daisuke Tanaka
■論文URL
  10.1021/jacs.9b10436
【用語説明】
※ 大型放射光施設SPring-8:
 兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、利用者支援等は高輝度光科学研究セン ター(JASRI)が行っている。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeV(ギガ電子ボルト)に由来する。放射光とは、電子を光とほ ぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、指向性が高く強力な電磁波のこと。SPring-8では、この放 射光を用いて、ナノテクノロジーやバイオテクノロジー、産業利用まで幅広い研究が行われている。
《問い合わせ先》
■関西学院広報室 TEL 0798-54-6017
■開発した材料の合成と基礎物性について
関西学院大学 理工学部 化学科
   准教授 田中 大輔

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■理工学部だより SCI TECH RESEARCH FORUM 2019を開催  2019.12.8

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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理工学部11月23日 SCI TECH RESEARCH FORUM 2019を開催
今年で5回目、約120人の高校生が発表
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理工学部は11月23日、神戸三田キャンパスで高校生を対象に「SCI TECH RESEARCH FORUM 2019」(サイテックリサーチフォーラム)を 開催しました。今年は16の高校から121名(発表テーマ数43)が参加。高校教員や見学者を入れて合計216人が集まりました。  「SCI TECH RESEARCH FORUM」は、2015年から始まり、今年で5回目。理工学部が研究成果や高度な知的リソースを社会に還元するこ とを目的にしています。
 午前は、巳波弘佳・理工学部教授が「AI 活用for SDGs」というテーマで講演を行いました。AI技術の発展に伴い大きな転換期を迎 えている今、これからの社会で必要とされる人材やスキルについて話しました。
 午後からは、高校生と大学生、大学院生が研究や大学生活について気軽に語り合う「サイエンスカフェ」があり、参加者は交流を深 めました。アカデミックコモンズでは、ダイハツ工業株式会社「くらしとクルマの研究所」の協力を得て、最新技術の体験や展示も行 われました。
 その後、高校生、大学生、大学院生がポスター発表を行いました。高校生らは、日頃の課題研究について報告し、英語で発表する生 徒もいました。会場では理工学部教員による指導・助言や、活発な意見交換が行われました。
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■理工学部だより 植物の成長を促す(右巻きの光を発する)プラスチックを開発  2019.10.22

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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植物の成長を促す(右巻きの光を発する)プラスチックを開発
〜理工学部・森崎泰弘教授らの研究グループ
-新規円偏光発光性モノマーの開発と応用-
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 関西学院大学理工学部環境・応用化学科の森崎泰弘教授らの研究グループは、植物成長を促進するプラスチック(右巻きの光を発するプラスチック)を開発し、高分子学会で発表しました。合成したポリマー(プラスチック)は、植物にとって有害な紫外光を吸収し、右巻きの青色光を高輝度で発するプラスチックになります(概念図参照)。 電源の必要なく、ケースやシートにして植物を覆うだけで成長効果が期待できるようになります。
この研究成果は、高分子学会でパブリシティ賞を受賞しました。

<研究成果のポイント>
●植物成長を促進するプラスチック(右巻きの光を発するプラスチック)を開発
●右巻きの光を発するモノマーを種々開発 → 様々なプラスチックへと展開

<研究成果の概要>
 植物は青または橙赤色の光をよく吸収して成長しています(よって葉は緑色を示します)。
光は右巻きと左巻きの光があり、通常は両強度が等しく直線偏光になります。 中でも、植物はその右巻きの光を好んで成長することが分かっています。 我々の合成したポリマー(プラスチック)は、植物にとって有害な紫外光を吸収し、右巻きの青色光を高輝度で発するプラスチックです。 電源不要でケースやシートにして植物を覆うだけで成長効果が期待できます。

<研究成果解説文>
植物の成長を促すプラスチック:新規円偏光発光性モノマーの開発と応用
Polymer Preprints, Japan 2019, 68
著者名:森崎泰弘、森田柊平、三木仲七海
 植物は青または橙赤色の光をよく吸収して成長しています。 中でも、それらの右円偏光をよく吸収します。 我々の合成したモノマーとポリマーは、植物にとっても有害な紫外光を吸収し、青色の右円偏光を高輝度で発する材料です。 合成したモノマーの一つはスチレン誘導体であり、様々なビニルモノマーとの共重合で多種多様なプラスチックの開発が実現できます。 また、二官能性モノマーの合成(例えばビスフェノール型モノマー)も容易で、ポリカーボネート・ポリウレタン・ポリエステル・ポリアミドなど様々なエンジニアリングプラスチック開発へと展開できます。 いずれにおいても、鍵モノマーの導入量は1?0.1 mol%程度の極めて少量でよくコストを抑えることができます。 得られるプラスチックは太陽光(の紫外光)により励起されて発光するため、LED と異なり電源を必要としません。 シートやプラスチックケース等で植物を覆うのみならず、植物のそばの壁や木材など光の当たるところにコーティングするだけでも成長効果が期待できます。 なお、電気により発光させることも可能です。
 今回開発した材料は熱・光・酸・塩基・空気・水に対して安定で、官能基の導入による発光色の制御も容易(橙赤色発光も実現容易)であるなど実用性が高いことも特徴です。 一方、左巻きの円偏光は植物の成長を抑制します。
ミラーイメージのモノマーを用いれば、雑草などの植物成長を抑制するプラスチックも開発できます。
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■理工学部だより 動画で市民がつながろうと「1億総発信プロジェクト」を考案  2019.10.7

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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理工学部の院生・学生4人が企画、三田市の活動応援制度で採択、
具体化へ10月19日に市民対象にスマホ動画教室を開催
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 理工学研究科情報科学専攻と理工学部情報科学科で巳波弘佳教授の ゼミに属する院生・学生4人のグループで考えた「1億総発信プロジェクト」 が、兵庫県三田市の「学生のまちづくり活動応援制度」で採択され、 最初の具体的な取り組みとして、10月19日、地域住民対象の 「初心者向けスマホ動画教室」を開きます。
 宇治槻さん(情報科学専攻2年)と廖思超さん(同1年)、 赤坂昌孝さん(情報科学科4年)、矢野皓己さん(同4年)。
 三田市周辺にも魅力的な場所や食べ物、イベントがあると感じていた4人は、 三田にかかわるすべての人が市民目線で情報を発信できるようになればいい と考え、中学・高校生や主婦層を中心に市民を対象にした動画作成の教室を 開くことを考案。
 スマートフォンを使った動画編集・SNS発信を学ぶ初心者向け教室を 手始めに、ホームページ作成(3日間)、パソコンによる動画編集(5日間) の講座を連続で開くことを企画して、7月28日に開かれた「学生のまちづくり活動応援制度」のプレゼンテーションで提案し、採択さ れました。
 三田市から活動費の助成があり、それを使って具体的に講座を開いていきます。
 最初の初心者向けスマホ動画教室は10月19日(土)、三田駅前の会議室を会場に、 コーヒーのいれ方を題材にスマホを使った撮影・編集を指導します。
 グループにはその後、映像制作に興味があるという総合政策学部2年の工藤天裕さんも参加。
宇治さんらは「最初から質の高さを求めるのではなく、粗っぽくても家族や知人に見てもらえるような 動画を作成することから伝えていきたい」と話しています。
 2回目はイベントへの参加も含めた3日間でWordPressを用いたホームページ作成講座、 3回目はパソコンを用いた動画編集講座(5日間)を予定しています。
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■理工学部だより AIを活用した生地のレコメンドシステム「感性AIソムリエ」を開発 2019.9.3

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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〜長田典子・理工学部教授〜
燗屋の店舗(日本橋、新宿、横浜、大阪、京都)で9月から常設展開へ
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 見た目や触り心地などユーザーの好みやイメージに合ったデザインを提供するための 感性的な印象の定量化・指標化技術が求められるなか、
関西学院大学の感性価値創造研究センター(センター長:長田典子・理工学部教授)は、 個人に根差した価値を具現化するデザイン支援の枠組み「感性デジタルビスポーク」、 個人の感性とそれを喚起する物理特性の関係を効率的に学習し、一人ひとりに適し たデザインをAI(人工知能)を使って検索・推薦する「感性AIエンジン」を開発しました。
 この研究をもとに開発した生地のレコメンドシステム「感性AIソムリエ」が9月から、 燗屋5店舗の紳士オーダーサロン「タカシマヤ スタイルオーダー サロン」で展開され ることになりました。百貨店の常設展開としては初めての試みとなります。
 ご多用とは思いますが、取材のご参考にしていただければ幸いです。
 「感性AIソムリエ」は、感性指標と関連付けた印象推定モデルおよびそれを応用した柄検索システムを実装し、 求めるイメージや気になるワードを選択することで、直感的に生地を検索することができ、 自分だけのスタイルをみつけるニーズに応える新しい接客ツールとして期待されています。
 また、接客時に収集したデータを“学習”するため、店舗の地域性や顧客層に合った提案が可能になり、 常にアップデートされた情報をもとに最適な生地が提案されます。
 ※本研究開発は、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の枠組みにおいて、  COIプログラム「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」の中で、  デジタルファッション株式会社、株式会社センチュリーエールと共同で実施したものです。

■実施店舗
 燗屋5店舗(日本橋、新宿、横浜、大阪、京都)の「タカシマヤ スタイルオーダー サロン」
※燗屋からは8月5日にニュースリリース(下記参照)が発信されています。
 https://www.takashimaya.co.jp/base/corp/topics/190805a.pdf
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■理工学部だより 「アゾベンゼンが結晶化すると発光体として振る舞う」ことを発見 2019.9.30

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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〜山内光陽・理工学部助教らのグループ〜
―発光してかつ光刺激に応答する賢い材料の創出に期待
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 関西学院大学理工学部環境・応用化学科の山内光陽助教、横山幸輔氏(修士1年)、増尾貞弘教授らの研究グループは、 有機化合物の一種で単独では発光しないアゾベンゼンについて、 結晶化させることで発光体として振る舞うこと(結晶化誘起発光)を発見しました。
 アゾベンゼンは光照射により励起されたエネルギーのほとんどが光異性化に使われるため、光応答性分子として広く研究されてきた のに対して、その発光特性については注目されてきませんでした。そこで山内助教らは、アゾベンゼン誘導体を結晶化することで3次 元的に固定し光異性化を抑制することで、発光体として振る舞うことを突き止めました。さらに、結晶の一部にレーザー光で照射する と、光異性化が起こることにより結晶が崩れ発光しない領域ができることを見出しました。本成果でのアゾベンゼンの結晶化誘起発光 の発見により、アゾベンゼンを使用した新しい発光材料の創出のみならず、発光してかつ光応答する賢いハイブリッド材料の創出に繋 がることが期待できます。
 本研究成果は、ドイツの化学学術雑誌『Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー国際版)』に、2019年8 月23日付けでEarly Viewに掲載されました。
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■理工学部だより 「ハニカム型水素安全触媒」を開発 2019.7.30

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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理工学部田中裕久研究室とダイハツ工業株式会社の研究グループは、
自動車 触媒を応用した実用性の高い「ハニカム型水素安全触媒」
を開発しました。
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 理工学部田中裕久研究室とダイハツ工業株式会社の研究グループは、 福島第一原発廃炉のプロセスにおける課題の一つである水素安全の確立 のため、自動車 触媒を応用した実用性の高い「ハニカム型水素安全触媒」 を開発しました。
 ※本研究開発は、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた国家プロジェクト である「国家課題 対応型研究開発推進:英知を結集した原子力科学技術・ 人材育成推進事業(平成 28?30 年度)」の枠組みにおいて、 「廃炉加速化研究プログラム:廃棄物長期保管容器内に発生する可燃性 ガスの濃度低減技術に関する研究開発(研究代表者:長岡技術科学大学 高瀬和之教授)」の中で実施したものです(下記参照)。
 ダイハツと関西学院大学は、国家的課題の解決に積極的に取り組み、 国立研究開発法人日本原子 力研究開発機構と協力して、大型放射光施設 SPring-8 にて反応メカニズムを解析することにより開発を加速しました。 触媒試作は、株式会社キャタラーと日本ガイシ株式会社の協力を得て、 また、触媒改良の効果は、ドイツ・ユーリッヒ研究所 (Forschungszentrum Juelich GmbH) の 大スケール反応装置にて実証しました。

 詳しくは、次の資料をご覧ください。
ダイハツ・関学共同リリース「水素安全触媒」
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■理工学部だより 「超高色純度の有機ELディスプレイ用青色発光材料」を開発 2019.7.23

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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畠山琢次・理工学部教授らの研究チーム成果が「Nature Photonics」に掲載
JNC石油化学株式会社との共同研究
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 関西学院大学の 畠山 琢次 教授とJNC株式会社の子会社である JNC石油化学株式会社の共同研究チームは、量子ドットやLEDを 超える色純度を持つ有機ELディスプレイ用青色発光材料の開発に 成功しました。
 有機EL(OLED)ディスプレイは、液晶ディスプレイに代わる フラットパネルディスプレイとして実用化が進んでいます。 しかし、有機系発光材料は、発光の色純度が低い(発光スペクトル幅が広い) という欠点があります。
色純度が低いと、ディスプレイに使用する際に、光学フィルターにより 発光スペクトルから不必要な色を除去して色純度を向上させる必要があり、 結果としてディスプレイの輝度や電力効率が大きく低下してしまいます。 また、フィルターによる色純度の向上には限界があるため、ディスプレイの 広色域化が難しいという問題もあり、色純度が高い発光材料の開発が 望まれていました。
 畠山教授らは、発光分子の適切な位置に2つのホウ素と4つの窒素を 導入し、共鳴効果を重ね合わせることで、発光スペクトルの広幅化の 原因である伸縮振動の抑制に成功し、窒化ガリウム系LEDやカドミウム系 量子ドットを超える色純度を持つ有機系青色発光材料(ν-DABNA)の 開発に成功しました。
 同研究チームは、2016年にν-DABNAのプロトタイプとして DABNAの開発に成功しており、ハイエンドスマートフォンの 有機ELディスプレイに実用されています。
今回開発したν- DABNAは、DABNAを大きく上回る色純度と発光効率を 示しており、有機ELディスプレイの高色域化、高輝度化、 低消費電力化、ブルーライトの低減などが期待できます。
 本研究成果は、英国時間で2019年7月15日(月)午後4時 (日本時間16日(火)午前0時)に英国科学誌「Nature Photonics」の オンライン速報版で公開されました。
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■理工学部だより 2021年 神戸三田キャンパスに理系4学部を開設します (設置構想中) 2019.6.6

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2021年 神戸三田キャンパスに理系4学部を開設します (設置構想中)
〜2021年度よりKSC5学部体制で
「境界を越える革新者(Borderless Innovator)」を輩出〜
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関西学院大学は6月4日(火)に大阪で、5日(水)に東京で、 村田治学長による記者会見を行い、2021年4月に予定している 神戸三田キャンパス(KSC、兵庫県三田市)の再編構想について説明しました。

理系4学部(理学部、工学部、生命環境学部、建築学部)を新設する という内容で、KSCは1995年の開設から四半世紀の節目に、 現在の2学部(理工学部、総合政策学部)から、 総合政策学部と新設4学部を合わせた5学部体制に生まれ変わります。

今回の再編は、学校法人関西学院(本部:兵庫県西宮市)が2018年、 創立150周年の2039年を見据えた将来構想「Kwansei Grand Challenge 2039」 を策定し、その長期戦略の中で掲げた「理系の強化・充実」を受けたものです。
この計画は現在、設置構想中であり、2020年4月に文部科学省に 設置届出を予定しています。

計画は以下の通りです。

(1)KSCのキャンパスコンセプト
KSCの新たなキャンパスコンセプトは “Be a Borderless Innovator.” 学生、教職員が国境、文系理系、学問分野、大学と社会などさまざまな 境界を飛び越える“Borderless Innovator”として活躍するキャンパスを めざします。

(2)KSCの歴史
1989年:神戸三田キャンパス(KSC)校地を取得
1995年:総合政策学部開設
 ●「総合政策学部」は国内では4番目。
 ●「ヒューマン・エコロジー(人間生態学)」を核とし、 「自然と人間の共生ならびに人間と人間の共生」を掲げて 地球規模課題の解決策を立案できる人を育てる。
 ●特長は「国際性」「学際性」。
外国人や外国での活動経歴が長い教員がほぼ半数で、 分野も社会科学系、人文系、自然科学系、工学系と様々な分野に またがる「国際的かつ学際的」な教員陣で構成。
2001年:理学部が西宮上ヶ原キャンパスからKSCに移転、 翌2002年「理工学部」に改組
 ●本格的な文理融合キャンパスに発展。
2012年:大学院理工学研究科に国際修士プログラムを設置
(英語のみで修了できる)
2019年:KSCの再編を決定
2020年:KSC開設25周年
2021年:理学部創立60周年、KSC移転20周年
 ●KSCは5学部体制となって再スタート(設置構想中)

(3)“Borderless Innovator”を育てるKSC
 ――教育・研究の特長

@地球規模課題に革新を起こす探究
 ―― “Sustainable Energy” の一大研究拠点を形成
KSCにおける重点研究テーマを「持続可能なエネルギー(Sustainable Energy)」とします。
本学は国連・外交コースを創設するなど国連・国際機関との連携を 強化しており、2019年度にはSDGs推進本部も発足しました。
当該テーマは国連SDGsの17の目標の一つであり、KSCには当該テーマと 関わる理学部の次世代有機EL、工学部のパワーエレクトロニクス (エネルギー半導体)、生命環境学部の人工光合成など社会から 高い注目を集める研究が集積しており、建築学部もネット・ゼロ・ エネルギービルやスマートシティ等、持続可能な建築と都市の実現に 取り組みます。
総合政策学部も開設時からSustainability(持続可能性)は 最重要テーマであり、文理の研究力を結集して一大拠点の形成を めざします。

A国境を越えた学び
 ――海外学修を含む国際プログラムを大幅に拡充
学部の専門分野に即した海外学修科目(PBL=Project-based Learning、 フィールドワーク、実習、インターンシップ等)を大幅に拡充し、 学生たちが世界各地で社会的課題に各国の学生らとともに取り組む 国際プログラムを充実させます。
1995年の開設時から充実した英語教育や国連等との連携を基盤に 国際化で高い評価を得ている総合政策学部はもとより、 理系も生命環境学部や建築学部を中心に積極的に海外学修のプログラム を提供します。

B文系理系や学問分野の境界を越えた学び
  ――分野横断型の教育システムを確立
工学部の課程同士や、建築学部と総合政策学部間で双方の分野を 学べるメジャー・マイナー制度を導入します。
また、5学部それぞれの専門分野の基礎的な科目からなる分野科目群 (合計12科目群)を設け、KSC5学部の学生に他学部の科目群を 履修することを強く推奨することで、文系・理系を横断し、 学問分野を越えて複眼的な視点を持つ人材を育てます。

C大学の枠を越えて実社会で起業する学び
 ――アントレプレナー育成プログラムの創設
理学部が母体となってアントレプレナー育成科目を創設し、 総合政策学部が提供する経営学、知財、会計、マーケティング等の 科目で構成される科目群や日本IBMと共同開発した「AI活用人材育成 プログラム」(10科目)とを組み合わせることで、学生の起業を 後押しします。
また、本学同窓のベンチャー企業創業者らに支援を受け、 インキュベーション(孵化)機能を整備して共同で起業家を輩出します。

(4)各学部の特長
@理学部
関西学院大学の理系学部は1961年の理学部開設からスタートしました。 原点の学部名に戻る理学部は、半世紀以上の伝統と実績を誇る化学科、 基礎数学から応用数理までの多様性・学際性が特長の数理科学科 (2009年開設)に加えて、物理・宇宙学科を設置します。 宇宙物理学の主要3分野(電波天文学、赤外線天文学、X線天文学) を揃える国内では稀有な体制の下で、最先端の研究者が宇宙の謎に 迫ります。

A工学部
工学部は、政府の工学系教育改革の方針を受け、分野を横断する カリキュラムを構築するべく課程制を導入します。 物質の性質の解明から実用化までを行う物質工学課程と 電気電子応用工学課程、ICT、AI、ロボティクスの最先端技術を 創出する情報工学課程と知能・機械工学課程はそれぞれメジャー・ マイナー制度を採用し、二つの分野を行き来しながら学ぶことで 複眼的な視点を育てます。

B生命環境学部
生命環境学部は、環境・食糧・健康など現代社会の課題解決に挑む力を 身につけるべく、植物・昆虫・微生物等の機能分析から取り組む 生物科学科、生命科学から医学応用まで学ぶ生命医科学科、 化学からのアプローチで環境にやさしい社会の構築をめざす 環境応用化学科で構成されます。
理系学部の国際化を牽引するべく、海外学修科目を開設して世界を舞台 にしたPBL、フィールドワーク、実習等をカリキュラムに組み込みます。

C建築学部
建築学部は、国際社会や地域で活躍できる建築家、都市計画技術者、 まちづくりリーダーを育てるため、デザイン、マネジメント、工学、 人文社会学など幅広い観点から建築、都市を学ぶカリキュラムを 提供します。
総合政策学部とメジャー・マイナー制度を導入し、理系・文系両方の 視点からの学びを実現します。
また、国内外でのハンズオンラーニングプログラムの構築に取り組みます。

D総合政策学部
総合政策学部は「国際性」の伝統を進化させ、既存4学科 (総合政策学科、メディア情報学科、都市政策学科、国際政策学科) すべてにおいて海外でのPBLやフィールドワークのプログラムを 増強するとともに、国際協力をテーマにしたグローバルキャリア プログラム(GCaP)や全学開講の国連ユースボランティア、 国際社会貢献活動などへの参加を促進して国際化を飛躍的に進めます。

(5)各学部の概要資料
各学部の概要については、添付資料をご参照ください。 なお、当該資料はあくまで現段階での参考資料です。 ご理解のほどよろしくお願いいたします。
※上述の内容は2019年6月4日現在の計画であり、今後変更する可能性があります。
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■理工学部だより 尾崎幸洋・名誉教授がPittsburg Spectroscopy Awardを受賞 2019.5.26

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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尾崎幸洋・名誉教授がPittsburg Spectroscopy Awardを受賞
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 尾崎幸洋・名誉教授が、3月に米国フィラデルフィアで開催された 「Pittsburg Conference(世界最大の分析化学、応用分光学会議)」で、 「Pittsburg Spectroscopy Award」を受賞しました。

 今年で62年目となる栄誉ある賞で、過去の受賞者の中には 3人のノーベル化学賞受賞者、G. Herzberg(カナダ)A. H. Zewail(アメリカ)W. E. Moerner(アメリカ)も含まれており、「分光 学のノーベル賞」とも言われています。
日本人としては初めての受賞です。
尾崎名誉教授の長年にわたる分子分光学の基礎と応用における貢献が 評価され、今回の受賞となりました。

 尾崎名誉教授は「この賞はまさに尾崎研究室29年の知の結集、 努力の成果に対して与えられたものであり、関西学院大学理工学部と 尾崎研究室の皆さんのおかげです」と話しました。
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■理工学部だより 長田典子・理工学部教授の「感性定量化技術」を展示する 「ぴったりファクトリ」始まる 2019.5.26

情報提供:学院同窓会神奈川支部
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長田典子・理工学部教授の「感性定量化技術」を展示する
「ぴったりファクトリ」始まる
東京・日本科学未来館 9月1日まで
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東京・お台場の日本科学未来館で5月16日(木)、
理工学部の長田典子教授が参加する 「COI(センター・オブ・イノベーション)ファブ地球社会創造拠点」 によるメディアラボ第21期展示「ぴったりファクトリ」が始まりました。
公開初日に合わせて、関係するメディアを招いた取材会があり、 長田教授と田中浩也・慶應義塾大学環境情報学部教授が展示内容や これまでの研究について報告しました。
展示は、夏休みをはさんで9月1日(日)まで。

. 私たちは大量生産されたモノを日々利用していますが、 画一的に作られたモノは、使い勝手が悪かったり、趣味に合わなかったり することもあります。
この展示では、モノが人に“ぴったり”合うものづくりに焦点を当て、 長田教授の研究成果を報告する「“ぴったり”をさぐる」と、 田中教授の「“ぴったり”をつくる」という二つのゾーンに分かれています。
 長田教授の専門は、感性工学。
「“ぴったり”をさぐる」ゾーンには、取り組んできた個人の感性を測る 「感性定量化技術」の研究成果の報告とともに、パソコンの端末を 使ってものの印象を評価する実験と、布のさわり心地から触覚を データ化する「触感定量化」実験に参加できます。 また、「感性のものさし」を組み込んだ「感性AIエンジン」を ファッションの分野に応用したアプリ「COUTURE」も紹介しています。
長田教授は 「感じ方を科学的に理解しようとする研究です。一人ひとりの感性に 合った“もの”やサービスのデザインへと応用することを目指しています」と説明しています。
 もう一つの「“ぴったり”をつくる」ゾーンでは、障がいのある人や 患者の動作を補助するために、作業療法士や当事者が3Dプリンタを 活用してつくった自助具などを展示。
複数の機能を兼ねそなえた最先端の3Dプリンタや長時間利用しても 肌がかぶれにくい新素材など、デジタルによるものづくりの現状を 報告しています。
 ※COI ファブ地球社会創造拠点
 「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」の略称。 デジタルファブリケーション技術が持つ可能性を、人の感性や創造性と 強く連携させることで最大限引き出し、社会のさまざまな課題を解決する 「ファブ地球社会」の実現をめざす研究拠点となります。 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業 「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援のもとで 研究開発を推進しています。
日本科学未来館のホームページ
https://www.miraikan.jst.go.jp/info/1904181124165.html
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■会員情報 松本克巳さん(1977年理学部卒 日本フィルハーモニー)市民コンサート 2019.5.24


神奈川支部 会員情報
(会員が出演・出場するイベント、会員が出品する展示会、会員が関与する催し等を掲載するコーナーです。)
松本克巳さん(1977年理学部卒 日本フィルハーモニー・ヴァイオリン奏者)より市民コンサートの案内が届きました。
コンサートが終わってから松本さんを囲んで関学OB/OG有志による懇親会もあるそうです。
尚、松本さん(小平市在)は2013年の第43回神奈川支部総会での講演&演奏を機に神奈川支部会員になっていただいています。
会場が埼玉県志木市ですが、ご案内させていただきます。

「日フィルハーモニー交響楽団メンバーによる 第19回ふれあいコンサート」のご案内 <ちらし>

日時  2019年6月30日(日) 午後2時30分開演(午後2時開場/午後4時30分終演予定)

場所  志木ふれあいプラザ(フォーシーズンズ志木 8階)  東武東上線 「志木駅」東口より徒歩1分

料金  3000円(全自由席)

出演  ヴァイオリン・松本克巳さん、ヴィオラ・中川裕美子さん、チェロ・伊堂寺聡さん、ピアノ・佐々木崇さん
    (演奏者プロフィールは同封チラシに載っています。 )

演奏曲目(予定);
《ラフマニホフ》 「悲しみの三重奏曲」 「ヴォカリーズ」 「ハンガリー舞曲」
《シューマン》 「幻想小曲集」
《ブラームス》 「ピアノ四重奏曲第1番」

◎チケットお求め方法等、詳しくは同封のチラシを御覧ください。

事務局/佐藤義廣
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■研究室紹介 理工学部生命医化学科 佐藤研究室 2019.5.1

◆教員
佐藤 英俊(さとう ひでとし),教授,博士(理学)
竹谷 皓規(たけたに あきのり),助教,博士(理学)
アンドリアナ B. ビビン,助教,博士(獣医学)

◆研究内容
佐藤研究室は,光を用いた新しい装置と分析技術の開発を通して,生物学と医学に貢献することを目指しています。学生達は生物学だけで無く,分析技術の開発に携わります。レーザー光源から分光システムまでのハードウェアについて,実物に触れて学び経験する他,多変量解析,ソフトウェア等についても学びます。研究対象は細胞や動物だけで無く,食品や健康などの分野にわたります。 では,最近行っている研究テーマをいくつかを見てみます。

1.ヒト感染性ウイルスの迅速検出
 エボラウイルス,新型インフルエンザ,デングウイルスなど,近年危険なウイルスが世界中で話題になっています。ウイルスは宿主を厳密に選ぶため,他の動物を用いてヒト感染性ウイルスを検出することはできません。誰かが感染しないと検出できないのです。我々はヒトの培養細胞を用いてウイルスを検出する技術を開発しています。しかし,細胞は熱も出しませんし咳もしません。どうするかと言うと,生きた細胞に顕微鏡下でレーザー光を当て,出てくるラマン散乱光を観察します。ラマン散乱光は分子組成を反映するため,細胞の分子に変化が出ると検出できます。最高でウイルス感染の3時間後に検出することに成功しました。これから,ウイルスの種類の同定技術や実用化を目指した研究を行っていきます。

2.生きた神経細胞の機能と分子組成の研究
 神経細胞を長期間培養すると,シャーレ内の細胞が相互的に関連したネットワークを作ります。神経細胞は細胞分裂によって増えることはありませんが,電気信号の同期など機能を獲得して成長します。神経細胞の成長を光によって,生きたまま解析する分析モデルを開発しました。地球上では今,内分泌攪乱物質(環境ホルモン)が問題となっており,一部の化合物は子供の脳の成長に影響を与えると考えられています。化合物の毒性はマウスなどの動物を用いて研究されていますが,動物は話せないため,発達異常などを見つけることは困難です。我々は,様々な化合物が子供の脳に及ぼす影響を高感度に検出し,問題を未然に防止する技術へと発展させていくことを目指しています。

3.がんの術中診断技術の研究
 腫瘍の中で転移する能力を持ったものをがん(悪性腫瘍)と呼びます。がんの切除において最も大きな問題は,正常細胞の中に紛れ込んだがん細胞を見つけ出すことです。例えば脳腫瘍の手術の時,安全のためがん組織の周囲を大きく切り取るとがんの再発を抑えられますが,脳機能を失うリスクが高まります。しかし,病巣を開いたまま長い時間をかけて検査することはできません。そこで,光を用いてがん細胞を短時間で見つけ出す技術の開発を目指しています。我々はラマンイメージングという技術を元にして,分子組成によってがん細胞を見つけ出すようなソフトウェア開発を行っています。また,2波長発振の新しいパルスレーザーを開発し,従来10時間かかっていたラマンイメージング測定時間を5分以内に短縮する技術開発を行っています。

これらの他にも,体内の脂肪蓄積を無侵襲的に分析する技術,幹細胞の分化制御技術,食品品質の検出技術など,様々な研究を行っています。  佐藤研究室では現在,7名の4年生,5名の修士学生が研究を行っています。修士学生のうち2名は留学生です。ゼミは全て日本語と英語の両方で用いて行っており,卒業時には日本人学生も英語でのプレゼンテーションができるように成長していきます。 8月6から10日には教授の佐藤が中心となり,医用分光学研究会(日本)の協賛を受けて,CLIRSPECサマースクールを開催いたします。CLIRSPECは欧州を中心とした医用分光学の国際会議で,この度初めて,サマースクールを東アジアで開催することとなりました。是非とも皆様のご参加をお待ちしております。

CLIRSPECサマースクール

<佐藤教授の紹介ページ>
<佐藤研の紹介ページ>
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